失った歯を補う治療法として、入れ歯、ブリッジのほかにインプラントがあります。
入れ歯、ブリッジと比較したときのインプラント治療の特長は、ご自身の天然の歯のような噛み心地を得ることができること、及び周りの健康な歯に負担がかからないことです。このようなメリットがありますが、インプラントは外科的な手術が必要となるので、患者さんの肉体的、精神的な負担がかかる治療法でもあります。
当院では、患者さんの負担を減らし、安全なインプラント治療を行うために、以下のような取り組みを行っています。
患者さんの負担が少ない「4Sコンセプト」
「4Sコンセプト」とは、患者さんの身体への負担を最小限に抑えたインプラント治療の術式です。その名称は「Short」「Simple」「Small」「Safe」の4つの要素から成り立っています。それぞれの意味は以下の通りです。
【Short】短期間での治療
通常、インプラント治療には1年ほどかかることが一般的ですが、4Sコンセプトでは最短で約2ヶ月半で治療が完了します。手術当日に仮歯を装着する「抜歯即時荷重」という治療法を採用しており、患者さんは歯のない日々を過ごすことがありません。
これにより患者さんの生活の質(Quality of Life)を維持したまま治療が進められます。
※料金は以下です
インプラント代(上部含む):¥470,000円+即時抜歯荷重¥50,000~100,000円
【Simple】シンプルな術式
従来の術式では骨が痩せている場合、骨を増やす「骨造成」が必要ですが、4Sコンセプトでは短いインプラント(ショートインプラント)や幅広のインプラント(ワイドインプラント)を使い、骨造成をせずにインプラントを埋入します。これにより、治療がよりシンプルでスムーズに進みます。
【Small】身体への負担が少ない治療法
「4Sコンセプト」では、手術時に歯茎を切開せず、抜歯した後の穴にインプラントを埋め込むため、骨に新たな穴をあける必要がありません。その結果、術後の痛みや腫れが軽減され、身体への負担が少ない治療が実現します。
【Safe】安全性の高い手術
CTによる精密な検査、コンピュータシミュレーションを活用した事前の計画、ガイドを用いたインプラント埋入など、手術の安全性を高めるための手法を取り入れています。これにより、人為的なミスを最小限に抑えた、安全な治療を提供します。
「4Sコンセプト」は、短期間かつ安全に、身体に負担をかけずにインプラント治療を受けたい方に最適な選択肢です。
抜歯即時荷重の精度を高めるドリル「Densah Bur」
インプラント治療では、顎の骨にドリルで穴を開け、金属の土台(インプラント)を埋め込みます。顎の骨の量が少ないと、骨の量を増やす「骨造成」という処置が必要になりますが、骨造成にも数ヶ月の時間がかかります。
当院では、「Densah Bur(デンサーバー)」という特殊なドリルを使って、穴の周囲の骨密度を高め、骨造成を必要とせずにインプラント治療を行っています。
Densah Burは、ドリルが逆回転することで骨が圧縮され、骨が高密度化します。これにより、より強固なインプラントの初期固定が得られ、抜歯即時荷重の精度が高まります。
次の動画をご覧ください。ドリルの逆回転によって骨の密度が高まる様子がお分かりいただけます。
精密機器による診断
インプラント治療を安全に行うためにCTやマイクロスコープなどの精密機器を使用します。
マイクロスコープ
「マイクロスコープ」とは顕微鏡のことです。歯科用のマイクロスコープでは視野を十数倍に拡大してみることができます。これにより、患部を拡大して、より精度の高い、正確な治療を行うことが可能となります。
CT
2次元で撮影するレントゲンとは異なり、患者さんのお口の周囲を回転しながら撮影するCTで、鮮明な立体画像を撮影することができます。
CT撮影を行うことにより、インプラント手術を行う前に歯を支える骨の中を通る血管や神経の場所まできちんと把握しておくことが可能になり、手術の成功率が高まります。
ピエゾサージェリー
インプラント治療では、顎骨の量が少ない場合に骨造成という手術が必要になることがあります。骨造成手術では骨を切開します。
そこでピエゾサージェリーという装置を使って、超音波の振動で組織を切開します。超音波振動は骨などの硬い組織にだけ作用するので、歯茎や血管を傷つけずに切開することができます。
コンピュータシミュレーションの活用
当院では、ノーベルガイド・クリニシャンというシミュレーションシステムを導入しています。
ノーベルガイド・クリニシャンではまず、CTが撮影した患者さんの立体データを取り込みます。
データを基に、神経や血管を傷つけずにインプラントを埋め込むために「どのサイズのインプラント」を、「どの位置」に、「どの方向」に入れるか等、具体的な手術方法を、コンピュータがシミュレーションします。
症例によっては、サージカルガイドを作成する場合があります。
サージカルガイドは、患者さんのお口の形に合わせたマウスピースのようなものです。インプラントを入れる位置に穴が空いていて、ガイドの穴に合わせてインプラントを埋入します。